※この記事は、未視聴の方にも読んでいただけるよう、物語の核心には触れていません。すでに観た方には、共感や新たな視点をお届けできれば幸いです。
Basic Info 🎬
■ 監督 | マーチン・サントフリート |
■ 脚本 | アンドリュー・ボールドウィン |
■ 出演 |
ジャレッド・レト 浅野忠信 椎名桔平 忽那汐里 |
■ 音楽 | スーネ・マーチン |
■ 公開年 | 2018年 |
■ 上映時間 | 120分 |
■ ジャンル | クライム/ドラマ |
Story Brief 📖
元アメリカ軍の脱走兵ニックは、日本の刑務所に収監されていた。
そこで出会った大阪の暴力団「白松組」の組員・清の脱獄を助けたことから、2人の間に絆が生まれる。
出所後、ニックは異邦人としての壁や敵意を受けながらも、自ら裏社会で生きていく道を選ぶ。
神戸の巨大勢力「勢津会」との抗争の渦に巻き込まれる中、“アウトサイダー”である彼の運命は、容赦なく動き出す──。
Trivia
- 本作に登場する彫師さんは初代彫蓮という本物の彫師さん。その迫力には出演者の忽那汐里さんも感動したそうです。 出典:MOVIE WALKER PRESS
- 普段は役に入り込むジャレッド・レトも今回の作品では役作りに悩んだそう。PTSD(心的外傷後ストレス障害)や第二次世界大戦後の時代背景をリサーチし、役作りを行なった。 出典:シネマトゥデイ
- 美しい日本を描くことにこだわった監督の意向で、福岡から北九州、大阪、東京など全編日本でロケが行われている。 出典:シネマトゥデイ
For you or Not? 異邦人と任侠のはざまで⚖️
ギャングやマフィアを題材にした洋画は数多くありますが、本作は「ヤクザ映画」という別のカテゴリ。
しかも、舞台は終戦直後の日本。現代のヤクザモノとも異なり、義理や人情、任侠といった要素に重きが置かれています。
ただし主人公は、異国の人間──アメリカ人。そこに独特の緊張感が漂います。
全編日本ロケということもあり、“なんちゃって日本”な描写は少なめ。それでも、日本人の目から見ると、やはりいくつかの違和感は否めません。
「いや、日本に住んでてそんなに英語しゃべる?(笑)」ってツッコミたくなる場面も😜
全編日本ロケの質感はありつつも、どちらかと言えば“海外の観客に向けたヤクザ映画”という印象です。
First Impression 異国の地で義理を貫く🇯🇵
ヤクザモノといえば、騙し騙されの裏切り劇──
義理を取るか、人情を取るか。親を取るか、兄弟を取るか。そんな二択に揺れるドラマが多い印象があります。
でもこの作品には、そうした駆け引きはあまり見られません。むしろ異邦人であるニックが、誰よりも義理堅く、任侠を体現しているように感じました。
浅野忠信や椎名桔平といった実力派も出演していますが、彼らが演じた清、オロチなどの印象はやや薄め。日本人としては、もう少し彼らの出番を観たかったというのが正直なところです。
それでも──
異邦人が日本文化に触れ、日本人のように振る舞おうとする姿には、どこか嬉しさを覚えました。
決してリアルではないけれど、愛がある。そんな視点で観ると、なかなか味わい深い作品かもしれません。
Highlights リアルな日本🌸
全編日本ロケというだけあって、“なんちゃって日本”感があまりなく、そこはかなり好印象。作中に登場する彫師さんも、どうやら本物らしい😳
もちろん、細かく探せば粗もあるのかもしれませんが…
戦後の日本やヤクザの世界に詳しいわけでもないので、特に違和感なく観られました。セリフ回しや物語展開にはやや“海外制作っぽさ”も感じましたが、それも味として受け入れられる範囲。
それにしても──椎名桔平の役名が“オロチ”。このネーミング、やっぱり気になる(良い悪いは別として)。
『地面師たち』にもそんな名前いたよね? Netflix制作で日本が舞台だと、役名がオロチになりがちなのか?(笑)
それでも、雰囲気と空気感がしっかり“日本”してるのは良いところ。
Let’s Be Honest シンプルすぎる☁️
正直、ストーリーはかなりシンプル。
「たぶんこうなるんだろうな」と予測できてしまう展開が多く、そして実際にその通りになる。結末も同様で、意外性や大きな起伏には乏しい印象です。
また、全体の構成もやや中途半端で、ヤクザ映画のフォーマット自体が苦手な人には響かないかもしれません。
かといって、バリバリの任侠映画を期待している人にとっても、少し物足りなさを感じるかも。
そもそも日本人向けではなく、海外市場を意識した作品だとは思うけれど──正直、海外でもそこまで評価されないかもしれない…。
当初はファスベンダー×エスピノーサ案、その後トム・ハーディ×三池崇史案を経て現体制に至った。…正直、三池崇史監督版が観たかったよ😭
とはいえ。
“海外の目線で描く日本”が積み重なったからこそ、今の国際共同制作の土壌が育ったのかもしれない。そう思うと、ありがたみすら感じてしまうのです。
そして何より、公開・配信当初には浮かばなかったような視点が、時を経て観ることで芽生える──
そんなふうに、時を置いて作品に触れることにも、確かな意義があると感じる今日この頃です。
Takeaway 他作品への好奇心👀
気になるところが多い作品ではあるけれど、観て後悔はしていない。
それだけで十分──そう思える一本でした🙆🏻
この作品をきっかけに、『アースクエイク・バード』や『TOKYO VICE』といった他の作品にも興味が湧いてきたのは確か。
本作そのものの評価は決して高くないかもしれないけれど、こうして新たな興味を生んでくれたという意味では、「観て良かった」と素直に思えます。
やっぱり、日本に住んでいるからこそ、“日本×異邦人”というテーマはどこか惹かれるものがあるし、海外の目に映る“日本像”にもどこか興味がある。
そして何より──
これからも、より素晴らしい、より“日本らしい”作品が、海外のクリエイターによって生み出されていくことを願っています。
Final Note📝
『アウトサイダー』
物足りなさは残る。されど価値はあった。
Trailer 公式予告💻
出典:Netflix Japan公式YouTubeチャンネル
Subscription 配信📺
※ 配信情報(2025年9月時点)配信状況は変更される可能性があります。