CONCLAVE『教皇選挙』感想 | 伝統の中の闇と思惑

※この記事は、未視聴の方にも読んでいただけるよう、物語の核心には触れていません。すでに観た方には、共感や新たな視点をお届けできれば幸いです。

Basic Info 🎬

■ 監督 エドワード・ベルガー
■ 脚本 ピーター・ストローハン
■ 原作 『Conclave』
ロバート・ハリス
■ 出演 レイフ・ファインズ
スタンリー・トゥッチ
ジョン・リスゴー
イザベラ・ロッセリーニ
■ 音楽 フォルカー・ベルテルマン
■ 公開年 2024年
■ 上映時間 120分
■ ジャンル サスペンス/ミステリー/ドラマ

Story Brief 📖

バチカン市国。

最高指導者であるローマ教皇の死去を受け、世界中から枢機卿たちが集まり、新たな教皇を選出する儀式「コンクラーベ」が始まる。

は、その進行役を務めることになるが、 から、前教皇が死去前に に辞任を要求していた事実を知らされる。しかし、本人はこれを否定。

一方、 は支持者に対し、 の教皇位継承を阻止することが目的であり、保守派への妥協や多数派工作は行わないと宣言する。

投票は完全な密室で行われ、外部との連絡は一切禁止。黒煙が上がれば選出失敗、白煙が上がれば新教皇誕生──。

重厚な儀式の裏で、思惑と駆け引きが交錯していく。

Trivia

  • レイフ・ファインズは、本物の枢機卿に招かれ、実際にローブを試着する機会を得たとのこと。しかし監督のエドワード・ベルガーは、より劇的な雰囲気を見据えて独自の衣装デザインを採用しました。 出典:出典:The New York Post(リンク先は英語記事)
  • 作中に登場するシスティーナ礼拝堂は、過去に制作されたレプリカを基に、地元の職人を招き、10週間かけて再構築されたものだそうです。 出典:MOVIE WALKER PRESS
  • 衣装や小物にも細部までこだわりが込められており、法衣の色は絵画的で映像に映えるよう調整。小物類も登場人物の性格を表すよう、細かく変化が加えられている。 出典:British Culture in Japan

For you or Not? 実はミステリー🔍

私の大好きな映画に『裏切りのサーカス』という作品があります。今作は、その脚本を手がけた人物が再び筆を執った一作。それだけで観る価値あり👀

ただし、この作品にはアクションや派手な展開は一切なし。そういう刺激を求める方や、緊張感ある人間ドラマ・小難しい会話劇が苦手な方には合わないかもしれません。

正直、宗教知識の有無はあまり関係ありません。私もキリスト教は詳しくありません🤷‍♂️ それでも十分に楽しめました。

むしろ、バチカンやカトリックの儀式、権力闘争といったテーマに興味がある方には刺さるはず。逆に、テンポの速いストーリーや明快な勧善懲悪を求める方には不向きかもしれません。

それでも一度は観てほしい。小難しそうに見えて、実はしっかり面白いミステリーです🫨

First Impression これは納得😌

え、おもしろ。今年一番かもしれない😳

  • アカデミー賞8部門ノミネート、脚本賞受賞
  • ゴールデングローブ賞 脚本賞受賞
  • 英国アカデミー賞(BAFTA)では作品賞&英国作品賞受賞
  • 全米映画俳優組合賞(SAG)キャスト賞受賞

──納得ですわ。

作中に出てくる「教皇」「コンクラーベ」「枢機卿」。聞いたことはあっても、いざ説明しろと言われると自信がない。だからこそ私は興味津々。

秘密組織感というか秘密結社感というか…そんな雰囲気にワクワクしてしまう。そして「猊下」ってなに?🤷

観ていると、「こうやって教皇を決めているのか」とか、「外との連絡は禁止なのか」といった発見があって新鮮。しかも投票はトーナメント形式じゃないのね。そりゃなかなか決まらんわ。

中で何が起きているのか正確にはわからない。それでも投票を繰り返し、些細なきっかけや駆け引きの末に最終的な一票が決まる…その過程が実に面白い。

そして、その密室劇の中でしっかりミステリーとして成立しているのがまたすごい。今年これを超える作品に出会えるのだろうか…。

Highlights 名優揃い踏み🎭

いっそのこと名前を書いたルーレットを回して、ダーツでも投げて決めれば良いのに。なんて冗談を思いつくほど、形式の重さと不確実さが興味深い。

システィーナ礼拝堂の美しさ、時折映るミケランジェロの「最後の審判」。意味深だったな。あれには何か意図があるのだろうか?🧐

でもその荘厳なシスティーナ礼拝堂があまり目に入らないくらい、ストーリーとレイフ・ファインズの演技に引き込まれました。あの憂いを帯びた、哀愁漂う表情は反則。

『ザ・メニュー』の時はただの狂ったおじさんだと思ってたのに…なんという裏切り。素晴らしい演技ではないか。

派手さがなく、淡々と、それでいてストーリーに没入できるのは、ひとえに役者たちの演技の賜物。各枢機卿やシスター役の細かな芝居までが、物語の空気を形作ってるように思います。

Let’s Be Honest 語彙力不足の私😥

私はカトリックではないので、すべてを正しく理解できてはいないはず。それでも面白い。

原作とは少し変更があるようで、その辺りも気になるところ。

読んでみたいとは思うけど、残念ながら未翻訳。それでも話題になった今、邦訳が出る可能性はある。座して待とう。

宗教儀式や信仰をストレートに描いた『パッション』や『沈黙 -サイレンス-』に比べ、今作は少し斜に構えた作り。というか、宗教という名の箱を借りて中身はミステリー──そんな印象。

宗教を扱った作品はどうしても賛否両論が起こりやすいけれど、今作はどうだろう。若干ステレオタイプ的な描き方が見え隠れする場面もあるような…🤨

それでも、伝統的な要素に現代的な視点が混ざり、右翼対左翼的な構図も、デスゲーム的な緊張感も、上手く溶け合っていた。

「知的なエンターテイメント」と呼ばれる本作だからこそ深読みしたくなるけれど、私の語彙力と知識の浅さでは限界が…😂

Takeaway 神の思し召し👼

ラストのひねり──あの結末に「え、そう来る?」とか「なんじゃそりゃ」と感じる人もきっといると思う。正直その気持ちも分かる。

でも私はあれを見て、しかもそれが理由で選ばれたわけではないからこそ、「あぁ、これも神の意思か」と妙に納得してしまった。

選ばれた後にさらっと明かされる、とある真実が、なんだか神様っぽくて…エンドロール後もじわじわ残る。

好みは分かれるでしょうが、私はとても面白かった。こういう作品に出会えるから、映画鑑賞はやめられない。

Final Note📝

『教皇選挙』
“人”を描いたミステリー

Trailer 公式予告💻

出典:株式会社キノフィルムズ公式YouTubeチャンネル

Subscription 配信📺

Prime Video

※ 配信情報(2025年8月時点)配信状況は変更される可能性があります。

年間300本ほど映画を観ています。 備忘録として、観たときの気持ちを飾らず素直に残しています。