I AM MOTHER『アイ・アム・マザー』感想 | ロボットお母さんは善か悪か

ネタバレなしで語る『アイ・アム・マザー』の感想。人類滅亡後の未来。高性能なロボット〈マザー〉に育てられた少女が、外の世界の真実に触れていくSFスリラー。完璧すぎる“母”、疑念を抱く“娘”、そして外から現れる“謎の女”。閉ざされた世界で繰り広げられる三者の心理戦は、静かなのに息を呑むほど緊張感がある。勧善懲悪ではなく、どの立場にも正義と理由がある──。「母とは何か?」をAIと人間の関係を通して問う、知的で美しいディストピア作品です。

MON CRIME『私がやりました』感想 | フランス流エレガント・コメディ

ネタバレなしで語る『私がやりました』の感想。1930年代のパリを舞台に、新人女優と駆け出し弁護士の友情と奮闘を描いたフランソワ・オゾン監督作。ユーモアや法廷劇の緊張感、シンデレラストーリー的な要素まで盛り込みながらも、軽やかで観やすい仕上がりが魅力です。レトロな映像美とフランス語の響きが作品の雰囲気をいっそう際立たせ、単なるコメディにとどまらない深みを与えています。

28 DAYS LATER『28日後…』感想 | 荒削りでも熱い、感染パニックの原点

ネタバレなしで語る『28日後…』の感想。ロンドンの街が突如として無人となり、わずかな生存者が感染者の脅威にさらされる──『28日後…』は、ダニー・ボイル監督が描く衝撃のパンデミック・スリラー。ゆっくり迫るゾンビ像を覆し、凄まじいスピードで襲いかかる感染者の存在はホラー表現を一新しました。キリアン・マーフィの映画初主演作としても知られ、後の『28週後…』や『28年後…』へと繋がる記念碑的作品です。都市の静寂と人間の極限状況を鮮烈に描いた本作は、公開から20年以上経った今でもなお新鮮な恐怖と切実な問いを投げかけてきます。

THE OUTSIDER『アウトサイダー』感想 | 任侠×異邦人

ネタバレなしで語る『アウトサイダー』の感想。終戦直後の日本を舞台に、異国の男が“義理”を貫こうとするNetflix制作のヤクザ映画。主演はジャレッド・レト。全編日本ロケによるリアルな描写が光る一方で、ストーリー展開には賛否も。日本人から見ると違和感のある部分もありつつ、海外から見た“日本”の表現として興味深い側面もある作品。

THE KILLER『ザ・キラー』感想 | セリフじゃなく構図で語れ。

ネタバレなしで語る『ザ・キラー』の感想。デヴィッド・フィンチャー監督が描くのは、感情を排し任務を遂行する暗殺者が、思わぬ誤算により冷静さを失い、内なる狂気と対峙していく姿。セリフを最小限に抑え、構図や音響、音楽で心情を表現する本作は、まさに“静かなるスリラー”。

THE ORDER『オーダー』感想 | 信仰という名の狂気

ネタバレなしで語る『オーダー』の感想。アメリカで実在した白人至上主義組織「オーダー」の誕生と崩壊を描く、静かで重厚な社会派スリラー。ジュード・ロウとニコラス・ホルトが、正義と信念の名のもとに狂気へと堕ちていく姿を圧巻の演技で魅せる。監督の徹底した演出や実話の背景に触れながら、観る者に問いかける問題作です。

6 UNDERGROUND『6アンダーグラウンド』感想 | 品のないユーモアと派手なアクション

ネタバレなしで語る超ド派手なNetflix映画『6アンダーグラウンド』の感想。死んだことにして正義を貫く、個性豊かなゴーストたちの活躍を描くアクション大作。爆破、カーチェイス、スタイリッシュな映像…とにかく全部盛り!ポリコレ感を自然に取り込んだキャラクター設定も好印象。深く考えずに楽しめる爽快アクション、だけじゃない何かもある…?

CONCLAVE『教皇選挙』感想 | 伝統の中の闇と思惑

ネタバレなしで語る『教皇選挙』の感想。閉ざされたシスティーナ礼拝堂で、次期ローマ教皇を決めるための選挙が始まる。世界中から集まった枢機卿たちは、信仰と権力、そして個人的な秘密を胸に秘めながら投票に臨む。そして、静寂の中に広がっていく波紋──。密室という極限状況で浮かび上がる“人間”の本質と、真実を求める意志。レイフ・ファインズ主演、緊迫感あふれる心理サスペンス。